スクリーンに映っているのは俺だが、撮っているのは誰だろう?って、粗忽長屋かよっ!
『アリラン』
キム・ギドク監督(2011年 韓国)

前作『悲夢』(2008)以来、監督業を離れてしまっていただけでなく、山に引き籠り猫と暮らしていた日々を描いたドキュメンタリー風(なのか?… と云うのも、勿論監督がキム・ギドクだから。劇中で語ることは多分全部本当のこととしても、それを煙に巻くようなことも勿論するから…)の、すこぶる興味深い映画。彼の過去の作品と、彼に纏わるいくつかのことを知っていると、もの凄く面白い!でも、何も知らなくても多分面白い。
登場人物は監督ひとりだけ、と猫。泣いて、笑って、歌って、酔っぱらいの戯言かも知れない。でも、その内容は「云うてもええのか?」の衝撃的なことが散りばめられていたり、とある世界的有名映画監督の日々想うことだったりで、なんかすごい。前作『悲夢』(これは美し過ぎて、ちょっと好き♪)を見るまでは、いまいちキム・ギドクが好きになれなかった(やりすぎなんだよーー、いつも。面白いけどっ!)私だけど、こんなことやられると…。ほんと、有名でも無名でも生きてたらいろいろあるから。上り坂下り坂、アリランアリラン。

こんな地味なプライベート映像みたいな画面でも、彼の爆発的芸術的センス(手作りのエスプレッソマシーンも!)は炸裂しているが、このくらい抑えてる方が私好み♪自分を殺しにゆく(三回も!)場所に見覚えがある…過去の作品のロケ場所(かなぁ?未確認ですが)に、わざわざ。面白過ぎ!この次の監督作品が楽しみ(劇中に裏事情が暴露される『プンサンゲ(豊山犬)』も)になってしまうけど、今作を超えられるものができるかしら?ふふふ~

[2012.4.4 シアター・イメージフォーラム(渋谷)にて]

2012年4月9日 記