貧乏で一匹の犬猫も救えない己れを憎み、考える
『犬と猫と人間と』
飯田基晴監督(2009年日本)

早朝の5分間番組『0655』で「猫のうた」&「犬のうた」を聴く度に泣きそうになる。愛おしい犬猫といっしょに暮らすことは、掛けがえのない素晴らしいこと!なのに、国内では1日あたり1000匹もの犬猫が殺処分されていると云う現実。その、血管切れそうな憤怒と諦念を伴う現実に関わることと、ひとびとを追ったドキュメンタリー作品です。

この怖ろしい犬猫残酷事情を沢山のひとに見てもらえば、何かが変わる!!と想うのは余りにもお気楽で、この映画を見て確信できることは、かわいそうな犬猫を救えるのは犬猫好きだけ!!(そもそも、この現実の原因にもなる犬猫を愛せない人間にこの映画を見せても何も響かない。)なのに、その犬猫好きの大多数も慢性的な貧困に見舞われていて(私だけじゃないのだ!!)己れが生きるので精一杯で、犬猫たちを助けるお金がないのだ!!(と云うところまで、 この映画は追っている。)どうしよう…?

3月の震災以来、ずっと非常事態のまま。なのに、外に出ると、まるで普段通りで、誰か(国が?)なんとかしてほしい!なんとかなるんでしょう?と 想っているかのよう。そんなことでいいのかな?と想ってたら、この映画を思い出した。なんにもしないと、どうにもならない。辛過ぎるからって、見ないふりしても現実はそこにある。何を云っても気のないひとには響かないけれど…。

すごく複雑な気持ちにさせられたのは、殺処分担当のおじさんが犬猫好きである自分がこの仕事をしていることがせめてもの救いだと語るところ。『カティンの森』〈2007年/アンジェイ・ワイダ監督〉での大量虐殺担当のひと(仕事だから、黙々と、次々にひとを殺し続ける)みたいにどこかが麻痺してしまってる気がする。そんなことが救いであるものか…!酷過ぎる現実に世の中も麻痺している?どうすればいいのか考える。

U・ω・U 毎回、「満腹幸福」だった映画には赤丸、「激ウマ」だった映画にはオレンジ丸などの色玉をつけていますが、この映画はどれにも該当しないので無色としました。

[2009.11.20 ユーロスペースにて]

2011年6月7日 記