贋物か? 本物か?
『トスカーナの贋作』
アッバス・キアロスタミ監督(2010年仏=伊)

タイトル(イタリアの地名が)と主演女優(ジュリエット・ビノシュ)から判りそうなものだが、キアロスタミ監督なのにイラン映画じゃなくて吃驚したけど、中身は[基本シニカル]な監督の作品そのもの♪

『贋作』と云うタイトルの本を出版し、講演の為その地を訪れた英国作家と、フランスからその地に移り暮らしている彼のファンで講演に参加した女が出会ってしまったことから始まる奇妙な半日の物語。贋物と本物についての談義から親密になってゆき、カフェのおばちゃんに夫婦と勘違いされてから始まってしまう[夫婦ごっこ]。まるで、本物の夫婦のように展開されてゆくふたりの行動に「本当に夫婦だったの??」の疑惑がわいてくるが…。

本物か?贋物か?贋物があるから、本物が本物であり得る。おそらく宇宙の真理と同じくらい、[そういうこと]なんだろうと想う。物語の途中、勘違いおばちゃんの発言から、[女は誰が何と云おうと自分が正しいと想っている]し、作家の言動から、[男は誰が何と云おうと自分は間違ってないと想っている]なぁ!と確信して納得した。ウチら夫婦も喧嘩が絶えない訳を。そして、通りすがりのおっちゃんの有難い囁きに「それがいい、それがいい!」と乗っかるのだった。でも、この映画を見て、こんな風に喧嘩ができる夫がいるのは幸運だと想ったわ。ずっといっしょにいるから気付いてなかったけど、私は理想のひとと暮らしていたんだねぇ・・・(^ェ^;)テヘ

[2011.3.29 ユーロスペース(東京)にて]

2011年4月1日 記