怖いのと、愛おしいのは紙一重だった…
『田園に死す』
寺山修司監督(1974年日本)

二十歳までにやっておきたいことがあった。然し、ウンメイはそれを与えてはくれず、来月二十歳になってしまうと云う絶望的な心境の時にこの映画を見に行った。その時はまだ寺山さんのファンじゃなかった。原田芳雄が出てる♪と云うだけで見に行ったから、とんでもない目に遭った!

私にとっては怖い以外の何モノでもない世界が映し出されている。子供の頃は見世物小屋にもお化け屋敷にも怖くて近寄れず、呼び込みの声ですら耐え難かったのに、それを見せられている!そんな映画だった。でも、その中に「私の好きなモノ」がいっっっっぱい詰まっていた!そうか、今まで怖くて近寄れなかったところに私の求めているものが!!そうか!(ユリイカっ!)
見終わると、躰がガタガタ震えていて、えらい鳥肌が立っていた。そのくらい怖かったのだけど、すっかり寺山さんが好きになってた。以来、私の漫画は余計に解り辛いものになり、絵には陰りが入るようになった。寺山さん抜きには有り得なかったことだと想う。そして、私はそんな私が以前よりももっと好きになって しまったから、二十歳になって絶望しても生き延びた。

生き延びた所為で出会ってしまって、愛してしまったひとが先月亡くなって、彼も映画好きだったのだけど、この映画を嫌い(見るタイミングが悪かった んだと想う…)だと云ってたのを思い出したので、書いてみました。とは云え、やはり、誰にでもオススメできる映画ではないです***

[1984.3 毎日文化ホール(大阪)にて]

2010年9月15日 記