とても遠い国の、とても近い存在
『マッチ工場の少女』
アキ・カウリスマキ監督(1990年フィンランド)

碌に映画も見にゆけないくらいの貧困でこのところ毎日陰鬱としていたから、ふと思い出してしまったけど、この映画に出会ったことで豊かになったことが沢山ある。
当時はアキ・カウリスマキのことを何も知らず、タイトルとチラシに惹かれて見に行ったら、酷く暗い救いのない物語だったのに全然悲壮感がないばかりか、こころが妙~な幸福感で満ち足りてしまい、家に帰るなり凄い勢いで家人にススめた。上映している劇場のシートが(未だに東京一だと想う)すこぶる心地好いコトも付け加えて♪

そして、以来ずっと彼の映画を見続け、まるで身内のような気持ちで悲喜こもごもに付き合い、『過去のない男』の公開時などは劇中に登場するバンドが来日し、上映中の劇場前の広場で無料ライヴが開催されたりして思いがけぬ至福の時を得たり、映画好きのカウリスマキ兄弟(兄はミカ)の影響を受けて、見る映画の幅が変な感じに広がったりもして、生活もこころもどんどん豊かになった***ただ我が経済状況はいつも、彼の大半の映画の登場人物同様のどん底に近 い貧乏なんだけど…。

ふぅ…これを書いてたら少しげんきが出てきた。少女(なのか?)にとっては退屈な眺めであろう冒頭のマッチ工場のシーンはとても素敵よ♪

[1991.3 シネマスクエアとうきゅうにて(東京・新宿)」